北海道税理士会

税の情報

◆贈与等により取得した資産を譲渡した場合における
 譲渡所得の取得費の取扱いについて(お知らせ)

[取扱い変更]
国税庁は、平成17年2月1日の最高裁判決を踏まえ、贈与等により取得した資産を譲渡した場合における譲渡所得の取得費の取扱いについて、贈与・相続の際に支払われる不動産登記費用・名義書換手数料などについては、従来は取得費に算入できないとして取り扱っていましたが、この取扱いを、取得者が不動産・ゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費に含めて計算することに改めました。
[手 続]
この取扱いの変更は、除斥期間(5年)の制限から、平成11年分以後の所得税が対象となります。 したがって、
  • 平成16年分については、「確定申告」によります。
  • 平成15年分については、平成17年3月15日までは「更正の請求」によります。
  • 平成11年分から平成14年分については、「嘆願書」を提出して職権による 更正を求めることとなります。
この場合、「嘆願書」は「更正の請求」の用紙に記載しても差し支えません。また、領収書等は必ずしも必要ではありませんが、「支払金額とその内容」及び「支払先の住所・氏名等」が記載された書類等を添付して下さい。 (※)特に、平成11年分の所得税については、除斥期間(5年)の制限がありますので、平成17年3月15日までに更正をする必要があり、送達に要する日時を勘案して、遅くとも同年3月10日頃までに「嘆願書」を提出する必要があります。
[取得費に係る留意点]
  • 譲渡資産とそれ以外の資産を同時に名義書換えした場合は、その費用を贈与等の時の時価又は取得価額で按分したうえで、譲渡資産に対応するもののみが取得費に算入されます。
  • 収入金額の5%を概算取得費としている場合には、これに登記費用等を加算することはできません。
    なお、この取扱いを適用した結果、実額が「概算取得費」を超過していた場合は、実額に変更して適用することが認められます。
[償却費及び減価の額の取扱い]
取扱いが変更されるのは譲渡所得の「取得費」であって、「取得価額」ではありません。したがって、取得費から控除される償却費の計算については、次のとおりとなります。
業務用資産
償却費の計算に変更はないので、相続等により取得した資産を譲渡した場合の取得費は、登記費用等について償却費累計額を控除しないで計算します。
また、不動産所得や事業所得などの金額の計算上、登記費用等についての償却費を必要経費に算入することはありません。
非業務用資産
減価の額は償却費の計算方法に準じて計算されますが、所得税法施行令第85条は資産の取得に要した金額等について減価の額を計算することとされていますので、相続等により取得した資産を譲渡した場合の取得費は、登記費用等についての減価の額も控除することになります。
[その他]
本件の詳細については、国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp)を参照して下さい。